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執筆者の写真陵亮 伊藤

超絶スパルタ免疫学校 胸腺


こんにちは(^^♪整体×ヨガのプライベートサロン【Refresh Labo R.I.T.】整体師の伊藤です(^^) 今回はリンパシリーズ第5弾!

リンパ球を育てる【胸腺】についての記事です! 何か参考にしていただけると嬉しいです(^^♪


リンパ球の生い立ち


リンパ球については前回の記事もぜひ参考にしていただけると嬉しいです。

リンパ球は骨髄の造血幹細胞から作られます。

これはリンパ球に限らず、血液成分や他の免疫細胞たちも一緒です。

また、造血幹細胞は”腸”にもあるという説があり 骨髄だけでなく腸でも作られているのでは?と言われています。 作られたリンパ球は、初期の段階では免疫能力を獲得していません。

免疫能力を獲得するには、成熟する必要があるのですが このとき”どこで成熟するか?”によって分化先が変わっていきます。

骨髄で生まれ、そのまま骨髄で成熟したリンパ球は「B細胞」 骨髄生まれ、胸腺育ちのリンパ球は「T細胞」と大きく分けられます。 今回は、この「T細胞」を育てる”教育の場”いわば「免疫学校」である「胸腺」のお話です。


胸腺とは?

胸腺・・・あまり聞きなれないかもしれませんが、免疫を考える上ではとても重要な器官であり、「中枢性リンパ器官」のひとつとされています。

胸腺は心臓の前方(前縦隔)に位置する器官で、 発生初期には喉の奥にあるそうですが、段々と下まで降りていき、心臓の前で落ち着くようです。

この”胸腺”がなければ免疫系は機能せず、 生まれつき胸腺の欠落している動物や、人為的に胸腺を取り除いた動物は免疫機能を発揮せず、ほぼ100%感染死してしまうのだそうです。

あまり聞きなれないですが、身体を守っていくのにとても重要な器官なんですね。


胸腺とは?②

胸腺は新生児の時には重さおよそ10グラムですが、 生後2~3年で急成長していき、思春期には30~40グラム、成人ではおよそ50グラムまでなると言われています。

しかし、そこから徐々に退縮していき 最終的には結合組織に変わっていく、という少し変わった器官です。 胸腺が退縮していく要因として、成長ホルモンや性ホルモンが深くかかわることが知られていますが、詳細な理由は完全に解明されているわけではないようです。



胸腺の役割

胸腺の最大の仕事は「T細胞の育成」です。

冒頭に前述したように、リンパ球は骨髄で生まれたのち、一部が胸腺にたどり着きT細胞になるべく教育をされていきます。

未熟なリンパ球に”T細胞としての能力”を教育していく、いわば「免疫学校」の胸腺ですが、 実はこの学校がかなりのスパルタ!

合格率は非常に低く、ほとんどのリンパ球は不合格となり末梢されていきます。 胸腺にたどり着いたリンパ球から、優秀なものだけを選別していくわけです。 ちなみに余談ですが、【世界で一番難関な大学】は「BITSピラニ本校」というインドの大学だそうです。 合格率は1.5%! BITSピラニ本校のほうが合格率は低いですが、「胸腺学校」の卒業率も劣らずの難関具合です。 T細胞はかなりの「エリート細胞」なんですね!




胸腺 卒業試験 概要

そんな難関、胸腺学校の卒業試験の概要がこちらです。



卒業試験には2次試験まであり 1次試験を「正の選択」2次試験を「負の選択」といいます。 まず、胸腺にたどり着いたリンパ球は 「MHC」(主要組織適合遺伝子複合体)という いわば「身分証明書」のようなものを発行されます。 これは細胞にとっての「名札」のようなもので、互いになんの細胞なのか?を認識するためにあります。 「一次試験・正の選択」では、このMHCを認識できるかどうか?がテストされます。 ここに失敗してしまうリンパ球は「アポトーシス」(プログラムされた死)を実行され、末梢されてしまいます。 一次試験をクリアしたリンパ球は「二次試験・負の選択」へと進みます。 ”負の選択”では、リンパ球は「自己抗原を攻撃」するように指令されます。 しかし、この指令に従ってしまうと、自身を攻撃して自分で死滅(アポトーシス)することになります。。 二次試験では「自身の抗原(タンパク質)を把握しているか?」をチェックされるわけですね。 このように、厳格な試験ののち、生き残った2~3%の優秀なT細胞たちが リンパ節や脾臓など各リンパ器官に配属されていき身体を守ってくれているわけです。

胸腺は何故退縮する?

優秀なT細胞を育成するのに必須な胸腺ですが、 成長ホルモンや性ホルモンの影響によって退縮していくことが知られています。 「T細胞作れなくなるからヤバくない?」と思っちゃいますが、 退縮するのにも、どうやら理由がありそうな感じです。 明確な理由は明らかではありませんが、 胸腺の退縮については諸説あり、


◆免疫系には「メモリー細胞」がいて、一度遭遇した細菌などは早急に対処が可能になる。 →どんどん免疫の効率は上がっていく。 そのため、新しく未熟なT細胞を作る必要がなくなるのではないか?
◆胸腺の試験はかなり厳格です。 せっかく生まれて胸腺までたどり着いたリンパ球を97~98%殺してしまいます。 成人になるまでに沢山のT細胞を輩出した後は、 そこに費やしていたコストを別のことに使っていくため、 胸腺は退縮していく

などです。


また、胸腺には「輸出リンパ管」のみが備わっており、基本的に成熟したリンパ球がまた胸腺に入ることはできないようになっています。 「再入学」はできないんですね。



リンパ球を万全の状態にするには?

胸腺という超スパルタ学校を卒業して、身体のために働いてくれるエリート、T細胞。 T細胞に限らず、B細胞や他の免疫細胞、リンパ球も身体のために常に働いてくれています。 しかし、働く環境(体内の環境)が悪ければ、いくらエリートな細胞たちであろうと、パフォーマンスは低下してしまいますよね。。 ということで、この記事の最後はリンパ球たちのパフォーマンスを上げる方法を簡単にお伝えしていきます。 ◆副交感神経を優位に。 自律神経のうち、”リラックス”のスイッチでもある「副交感神経」を優位にすることで、リンパ球のパフォーマンスは向上することが知られています。 具体的には、適度な運動によって自律神経のバランスを整える、しっかりと睡眠をとること、心をリラックスさせる習慣などを持つこと、が挙げられます。 ◆セロトニンを分泌しよう 「幸せホルモン」とも呼ばれる”セロトニン”を分泌することで、リンパ球のパフォーマンスは上がります。 具体的には、朝日を浴びること、笑うこと、感謝や感動などで心を動かすこと、が大切です。 ◆腸内環境を整えよう 腸内環境を整えることで、リンパ球のパフォーマンスだけでなく、細胞への栄養供給の効率なども向上していきます。 具体的には、バランスの良い食事(加工食や添加物に注意)や適度な運動によって腸の蠕動運動を促すこと、ストレスをためない!ことなどが挙げられます、



まとめ

胸腺、面白い器官ですよね。 身体を守るために、実は体内ではスパルタな細胞教育がなされていた。。。 身体のことは、知れば知るほど面白いです(^^♪ 何か参考にしていただけると嬉しいです(^^♪ 最後までごらんいただきありがとうございます!

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